~『けんたろう』のマイブログ~ TOP > 2017年04月11日
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「おおかみ魔王」と「おやすみ鳥」

「朝だっーー!!」

叫び声がしたのは、23時前。完全に夜だった。

「また、おおかみ魔王か。」

僕らは、言葉には出さなかったがきっと同じ心の声を発し互いに顔を見合わせた。

「おおかみオヤジ」、かrつては「オオカミ少年」をもじってそう呼ばれていた時期もあったが、

最近では「おおかみ魔王」と呼ぶ人が殆どになった。親父から魔王に・・・昇格みたいなものだろう。

数年前から夜に「朝だっーー!!」と叫びながらこの界隈を徘徊する輩が出没するようになった。

その「おおかみ魔王」がよりよって昨夜現れるとは。

昨夜は、夜だというのに実に久しぶりに紅い鳥が飛来し、その見事な囀りを披露し、僕らはそれを堪能しているところだったのだ。

紅い鳥の囀りときたら極上で、それゆえに紅い鳥が飛来して囀りを始めると、

紅い鳥の囀りを真似ようとその他の多くの鳥たちが紅い「鳥擬き」と化して一斉に囀り始めるほどで、

それは鳥たちに夜であることさえ忘れさせてしまうほどなのだ。

だから、僕らも無数の紅い鳥擬きの囀りの中から本物の紅い鳥の囀りを聴き分けようとより一層の覚醒を求められるわけで、

昨夜も紅い鳥の飛来から数時間かけ覚醒と聴き分けを続け、

その間には紅い鳥擬きたちの「やっぱりかなわい」という諦めからのフェードアウトもあり、

やっと本物の紅い鳥の独唱に辿り着いた。

そんな矢先の「おおかみ魔王」の叫びだった。

当然、紅い鳥が最後まで独唱したのかも、いつ飛び去ってしまったのかさえはっきりしないありさまで・・・

そんな悶々としたものを抱えたまま僕らは布団に潜り込んだ。

そのときである、僕らの枕元から鳥の囀りが聴こえてきた。

一羽で、初めて聴く。

とても優しくてやわらかい囀りだった。枕元のランタンの灯りのようにほんわりとしていた。

紅い鳥の囀りとはタイプは違うが、また極上の囀りだった。

僕らはランタンの灯りを消して、そっと目を閉じた。

暗闇の中でその声は僕らを包み込んだ。

そして、紅い鳥のこともおおかみ魔王のことも、どこか遠くのずっと昔の外界の出来事だったかのようにやがて僕らを安眠させた。

昨夜、僕の「百鳴鳥帳」に一羽の新鳴鳥が加筆された。

鳥名:おやすみ鳥(ララバイバード) 
特徴:花柄のからだと果実のような鶏冠を持ち、子守歌を唄うように囀る。





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[ 2017/04/11 16:41 ] 散文集 | TB(0) | CM(0)
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