~『けんたろう』のマイブログ~ TOP > 2017年05月

そして「カーテンの法則」

 駐輪場から見えるバイパスの上に広がる南の空は明るかった。

だが、彼の頭上とその東西そして北側の空は、単調な灰色をしていた。

雨による足止め・・・

職業的能力とでもいうのだろうか、彼の天候に関する察知能力は一般的な人のそれよりは長けていた。

ところが、この日は彼の予測に反する雨が降った。

自宅を出るとき少しパラついていた。

しかし、彼の感覚は「GOサイン」を出した。

出発して程なく雨は勢いを増した。

やむを得ずスーパーの駐輪場にエスケイプ。

夕食の買い出しを済ませ、駐輪場へ戻った彼は、念入りに空を見上げた。

しばらくして一つの結論を出した。

バッグや買い物した商品を濡らさないよう、もう一度店内へ入り大型のごみ袋を購入して帰宅しようと・・・。

そう彼が、意を決したとき雨の勢いが弱まった。

とっさに彼は、宅に向かって自転車を自こぎだした。

信号のタイミングにも恵まれ、ほぼノンストップで、あまり雨に濡れることもなく帰宅することができた。

帰宅して暫くすると勢いよく雨が降りだした。

彼は、自分の感覚と天候がここまでかけ離れ経験をしたことがなかった。

何か違和感のようなものを抱いた。

夕食を済ませたころすっかり雨は上がっていた。

軌道確認を雨に阻まれた彼は、何かの衝動に駆られてある場所へと自転車を走らせた。

そして、、「スプリヌゥード」の片道書簡をまんまと無視して、目的物を無駄のない動きで入手しその場を去った。

後は、帰宅するだけのはずだった・・・。

ところが、翌日、彼の手元には、もちろん入手した目的物はあったのだが、

「スプリヌゥード」の片道書簡もあったのだ。

そして、押し入れの衣装ケースの前には忘却された手袋がポツンとあった。

軌道確認に必要不可欠な手袋だ。雨が降らなくても軌道確認は・・・。

彼は、雨による足止め・・・の意味を理解した。

ただ、「スプリヌゥード」の片道書簡の着払いの料金が、いつもよりも安かった。

8割から9割も安かったのだ。

ただ、それだけが、いつもと違っていた。

そして、その週の日曜日、彼は「カーテンの法則」を知ることになる。








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[ 2017/05/22 18:12 ] 散文集 | TB(0) | CM(0)

そしてトンプソンと竜実

風の強い日曜日は、母の日というもう一つの顔を持っていた。

川の春告げ鳥は、山の春告げ鳥よりもテクニシャンだった。

低い山に笹はないと書いてあったが、谷についいては書かれていなかった。

尾根沿いの畑では、鷺がスーゥと首を伸ばし、ハート形の背中で内羽を乾かしていた。

小屋は今も幹線道路沿いに佇んでいたが、堅く閉ざされていて、おばあさんの姿は、当然確認できなかったが、

そこにおばあさんの気配を感じることはできなかった。

引退したのか、亡くなったのか・・・。

奥まった不向きな場所で打撃場は今も息吹を上げていた。

少年が一人、軽くて甲高い打球音を響かせていた。

砂色の野球場も土色の野球場も健在で、どちらもダラダラとした草野球の練習が営まれていた。

路線バスの時刻表は、縦方向に極めて短く縮んでいて、午前7時台と8時台に合わせて3本のみの運航になっていた。

そして、トンプソンと竜実が・・・。

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[ 2017/05/17 12:03 ] 散文集 | TB(0) | CM(0)

そして10K2出現

5.15。

この朝、10K2の出現で事態は一変した。

それは、44蛇ICE.Mt城に閉じ込められていた彼を開放し、次なる扉「秋マック2」の鍵を落とした。

彼は程なく、秋マック2を完食した。正午を迎えることなく。

一方、秋は、ここに終焉を迎えた・・・と思われた。

しかし、彼が、忘れものに気付き「秋マック2」へ取りに戻った時、新たな扉が口を開けた。

そして彼は、再び・・・。
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[ 2017/05/15 11:48 ] 散文集 | TB(0) | CM(0)

そして「スプリヌゥード」の「片道書簡」

 春告げ鳥は、前回よりもはるかに上手に鳴いており、大

毛虫の背の日焼けは、横っ腹あたりまで広がっていおり、相変わらずアンバランスな立ち方を強靭な体幹で補っていた。

その夜、彼は、早めに床に就いた。

翌日の天候と山のような洗濯物に命令されるように。

翌朝、いつもより早く起床した彼は、いつもより早く山のような洗濯物を処理した。

そして、以前から気になっていたキッチンのシンク横に置かれた食器棚に水跳ね帽子で貼り付けてあったカエル柄のビニールシートの交換作業は、やがて彼を大掃除へと巻き込むことになった。

大掃除の最中、彼は、「スプリヌゥード」のことを考えていた。

正確には、「スプリヌゥード」のことというよりも「スプリヌゥード」との奇妙で理不尽な関係、

・・・というよりも、「スプリヌゥード」との奇妙で理不尽文通について。

そう、「片道書簡」についてだ。

その奇妙で理不尽な文通が始まったのは、いつだったか正確な記憶はない。

十年前までは遡らないだろうが八年前までは遡るような気がするようなしないような・・・

時期については不明瞭だがきっかけについてははっきりと記憶している。

「片道書簡」という言葉からもその奇妙さと理不尽さの欠片程度は窺い知ることはできるだろうが、

まず一つは、「片道」ということで、一方的に、「スプリヌゥード」が書いているのだ。

二つは、「書簡」ということで、手紙なのだが、意味不明、というか、はじめは普通に話が進行するのだが最後まで読み終えると意味不明になる。そんな奇妙な手紙なのだ。

いつも「それで?」と返信したくなるのだが、「スプリヌゥード」に返信できない理不尽さも兼ね備えているのだ。

理不尽といえば、三つは、「書簡」だが配達はされない。こちらが、私書箱まで取りに行くのだ。

私書箱と言ってもこちらが設けたものでない。このあたりも実に理不尽。

「スプリヌゥード」が一方的に設けた私書箱があり、といっても郵便局ではなく、

文通(片道書簡)相手が、恐らくは全国にあるだろう「スプリヌゥード」の私書箱に足を運び受け取るののだ。

そして、着払いという理不尽の極みなのだ。

この「スプリヌゥード」との「片道書簡」が、

意味不明な手紙を一方的に書き、着払いで私書箱まで足を運ばせる理不尽の極みであると理解しながら、

「なぜ、やめられないのか?」

そのことについて彼は大掃除の最中に考えていたのだ。

「スプリヌゥード」が、電話をかけてきて「お願いします。」と懇願するわけでもなく、

「スプリヌゥード」が、自宅に押しかけてきて「読め!」と強要するわけでもなく、

「スプリヌゥード」が「新しい手紙書いちゃった」とツィートしたりするわけでもなく、

「スプリヌゥード」が「新作で~す。」とインスタグラムにアップするわけでもなく、

「スプリヌゥード」が「既読して~」とラインを送り付けてくるわけでもなく、

「スプリヌゥード」が「法律作りました」と義務化するわけでもなく・・・

結局、彼の思考は、「スプリヌゥード」の「片道書簡」。

そして、大掃除はやがてトイレ掃除へと発展して終焉を迎えた。

そのとき、白い象は、やっぱり炊飯器の陰に堂々と隠れてた。

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[ 2017/05/12 11:08 ] 散文集 | TB(0) | CM(0)

そしてブデン・ビリー・ブゲン

西の大陸を踏破した彼は、ブデン・ビリー・ブゲンを発掘した。

「オニキン(鬼に金棒)だ。」

ブデン・ビリー・ブゲンを発掘するつもりのなかった彼の口から洩れた言葉だ。

やはり、そこにも谷があった。

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[ 2017/05/11 07:54 ] 散文集 | TB(0) | CM(0)

そして大毛虫

そして、いよいよ・・・

「ショウエイ」を漁で入手した彼は、春告げ鳥の鳴き声が共鳴する樹々のトンネルをくぐり軌道確認に出かけた。

山頂では大毛虫が、少し黒みを帯びた濃艶な紅色の背を薄水色の空に向け日光浴をしながら佇んでいた。

ちょうど陽が真上からの当たる部分だけが、まるで日焼けでもしているかのように下の方は濃い緑色をしている。

大毛虫は、奇妙な立ち方をしていた。

アルファベットのL字をちょうど90度、それもわざわざ座りの悪いだろう方向に回転させたようにだ。

こんなアンバランスな格好でよく倒れないものだと、大毛虫の体幹の驚異的な強さに呆れながらも素直に感心した・・・

そんなことを思い出しながら彼は、内海を渡り南の大陸を巡り、

もう一度、内海を渡り西の大陸を闊歩していた。

「ヨシキュウ」とは、二つ前の大陸で分かれていた。、W・ディーア城のある大陸だ。

あんなにクッキリとして極太で揺るぎなかっただった輪郭が、

遮るものがなくなり、距離が縮まるにつれ反比例的に次第にぼやけていき、やがてそれはついに消滅してしまった。

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[ 2017/05/09 16:38 ] 散文集 | TB(0) | CM(0)

そしてヨシキュウ

GW終盤、弾丸ツアーを敢行していた彼は、スゥイートチルドレン(通称:スゥイチル)のW・ディーア城の門前である問題に直面した。

W・ディーア城は、ある条件を満たさなければ入城許可がおりなかったのだ。

門前の表示によると・・・

「スゥイチル出身で千樹通貨を有する者を含まないグループには、入城を許可できません。 W・ディーア城主」

眼下に広がる湖と呼ぶにはあまりも広大な水面を眺めながら、彼は門前でしばし黙考した。

「GWといってもあれは確か谷間の出来事だったな。谷間・・・」

先日、鯛工船に乗り「ショウエイ」を手繰り寄せた漁のことを思い起こしながら。

その時、門前脇のある物に彼は気付いた。

「ガイド紹介所」

彼は、紹介所の扉を開け中に入った。

紹介状を一枚提示することで、ガイドを一人紹介してくれるらしい。

この弾丸ツアーの要所で二枚の紹介状を彼は手に入れていた。

ただし、指名や希望は受け付けていない。

どんなガイドにあたるかは、分からない。まさに運任せのくじみたいなものだ。

GWの繁忙期に厳しいかとは思ったが、彼は意を決した。

「これでダメでも、もう一回チャンスはある。」

紹介所の窓口で係員に紹介状を一枚手渡した。

係員の対応は迅速だった。

受付脇の扉から一人の男が姿を現した。

彼は、男を見るなり、

(「ジョニー・H⁉」・・・ある知り合いのことが頭に浮かんだ。理由はすぐにわかった。ハットだ。)

男はブラウン系の縦縞スーツに同じ生地のつばの広いハットを被っていた。

髭尻のピンと跳ね上がった口ひげと、その服装やいで立ちから、凛々しさとダンディズムを醸し出していた。顎髭はない。

「はじめまして、ヨシキュウです。」

と、男は彼に挨拶した。

(ヨシキュウ?某牛丼チェーンのような名前だなと思った。)

「ご出身は、どちらですか?」

「スゥイチルです。」

男は、淡々と答えた。

彼は、逸る気持ちを抑えつつ、次の質問を口にした。

「失礼ですが、千樹通貨は、お持ちでしょうか?」

彼は、固唾をのんで返事を待った。

男の答えを聞くまでの数秒もない時間が彼にはとても長いものに感じられた。

「はい。持っています。」

男の返事を聞いた彼は、

「よろしくお願いします。」

と、笑顔で手を差し出し、男と握手を交わした。

そして彼の姿は、ヨシキュウと共にW・ディーア城へと消えていった。

そして、いよいよ・・・

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[ 2017/05/07 07:35 ] 散文集 | TB(0) | CM(1)

そして鯛工船

2,017年5月2日、彼は鯛工船の上にいた。

それは、正午を少し過ぎたころの出来事だった。

漁最終日、時間的猶予も残り1時間弱、

彼は、昔、映画で観た魚と格闘する老人ほど鬼気迫るといった状況ではなかったものの、

それなりの緊張感のようなもの感じていた。

彼は、網を慎重に手繰り寄せた。手応えと確信に満ちた網捌きで。

その手応えと確信は、直ぐに網の中で確かなかたちとなって姿を現した。

狙っていた「ショウエイ」が甲板の上で勢いよく跳ねていた。

G週間に相応しく、キラキラと黄金色の輝きを放っていた。

彼は、クリームパンを齧った。

そして、洋上の五月晴れの空を見上げながら、

「洗濯物の乾きが楽しみだ。」

と笑みを浮かべたとき、

今朝、洗濯用洗剤と漂白剤を使い切ったことを思い出した。

「そうだ、新しいものをおろさなくちゃ。」

彼は、錨を上げ帰路に就いた。

「ショウエイ」を手繰り寄せたことで、次回にはさらにパワーアップするだろう鯛工船で。


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[ 2017/05/02 12:49 ] 散文集 | TB(0) | CM(0)
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