~『けんたろう』のマイブログ~ TOP > 散文集 > 昇降機

昇降機

6つしかないボタンは縦に並び、最上階の15が一番下にあった。

残りのボタンは6、8という2つの数字が確認できた。

全てのボタンは淡い橙色に点灯ししていた。

私は、15階の釦を押した。

勢いよく上昇を続け目的の15階に到着した。

なぜか途中の階には止まらなかった。

この昇降機に扉がないことに気付いたのはその時だった。

眼前に窓ごしの事務所が広がっていた。

ちょうど私の臍の下あたりまでが壁でその上が窓。

それらを認識している最中に昇降機は下降し始めた。

下降を続ける昇降機の中で私は再び15階の釦を押した。

何度か上昇と下降を繰り返した。

途中の階には停止せず15階に到着し、下降する。その度に私は一番下に配置された15の釦を押す、これを繰り返した。

やがて何度目かの到着で私は、15階の事務所の窓を開け、その上端を掴み昇降機の床を蹴り膝を折り曲げ事務所に入ることができた・・・




私は事務所の中で働いていた人たちと昇降機に乗り込んだ。終業したようだ。

なぜか事務所にはいなかった若いアベックもいた。

昇降機と事務所の前に通路があり、普通に昇降機に乗り込んでいることにも私は気付いていた。

昇降機の中で中間管理職と思しき男が誰にか分からないが「どうだ一杯いくか」と。

その問い掛けに誰も答えない。

「いいですね、パーっといきますか」

私はなぜかそんな事を口にしてしまっていた。

昇降機は1回に到着した。

昇降機を降りビルを出ると通りに面していた。

一緒に乗っていた背広姿の若い男がギターを担ぎ、通りを横切り真向いの雑居ビルに入り階段を上りはじめやがて消えてしまった。

事務室で働いていた男、恐らくはさっきの中間管理職の男の部下と思われるが、先程の問い掛けにも応えることもなく、挨拶の言葉を残すでもなくだ。

残された私たちは、通り沿いに50メートルほど進み間口の狭い大衆酒場へと吸い込まれた。

狭い間口に「お食事処 浅田」と書かれた暖簾があった。

ここまでの道中、中間管理職の男が「アサダ」と言っていたことを私は思い出した。

店内に入ると古ぼけた木製のカウンターに横並びで座った。

椅子は背もたれのない丸椅子。もちろん色は緑色。

座るや否や年季の入った鬼瓦のような顔をした女将と思しき女が、「お通し」といってカウンター越しに皿にのったカワもついたままの黒い「ニンニクの素揚げ」をカウンターに置いた。一人一房だ。

「お通し」に気をとられている私の右隣の中間管理職の男の部下と思しき痩せた男が、「ビール、…瓶ビールねと」なれた感じで女将に言った。

さっきギターを担ぎ雑居ビルに消えていった男よりは先輩だ。

私もビールを注文した「とりあえず生中お願いします」。

私の左隣が中間管理職の男でその向こうにアベックという配置になっていた。




私たちは通り沿いを歩いていた「そろそろ板ノン」が来てるだろう。

事務所のあるビルの方に歩を進めていた。

再び私たちは昇降機に乗り込んだ。

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[ 2016/12/08 12:19 ] 散文集 | TB(0) | CM(0)
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