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アナ・ホーリーはなぜ穴を掘ったのか?

後に「事故」から「事件」に変更された世の言う「アナ・ホーリー事件」というものが存在する。

 多くの自転車乗り、中でも「峠愛好家」と呼ばれる連中が集う有名な峠があった。

その「峠愛好家」の中の一人が「アナ・ホーリー」だった。

彼は、「峠の天才」と仲間達から一目置かれる存在であると同時に恐れられてもいた。

彼が「峠の天才」と呼ばれる所以は、その「下り」の圧倒的な強さにあった。

強さの理由は、事故をも恐れぬ勇気で一切減速しないその狂気的な暴走にあった。

ゆえに周囲から恐れられる存在でもあったのだ。

「いつかあいつ事故るぜ、巻き添えにならないようにしないとな・・・」

誰もが口々にそう呟いていた。

そして峠で下りに入ると後方からアナ・ホーリーが迫ると誰もがコースを譲った。

アナ・ホーリーは、やがて奇妙な行動をとり始めた。

「俺はもう上るのは嫌だ、下るだけがいい」

と、突然、峠を下りきったところに穴を掘り始めたのだ。

これが「アナ・ホーリー事件」の発端だった。

「狂気的なのは下りの走りだけじゃなかったようだな。」

「山に上下と書いて峠なのに、登らないんじゃ山下になっちまうよ。」

「まったくだ、上り(登り)下りの登下にもならね」

と周囲の反応は概ね冷ややかなものだった。

しかし、「峠愛好家」の中には、アナ・ホーリー同様に「下り」のスリルとスピードに興奮を覚える者も多く彼の熱狂的な信者も少なくなかった、

時間が経過するにつれアナ・ホーリーと一緒に穴を掘る者が増えていった。

ある日、峠の上からその様子を眺めながら、「峠のスペシャリスト」と称され敬意を持って「長老」と呼ばれる男が呟いた。

「穴を掘り進めてみたところで、一度上ってこなければ下れまいにな・・・」と。

誰もが当たり前過ぎて見落としていたこと、アナ・ホーリーの狂気の沙汰として流していたことを。

やがて、日が経ち地上からアナ・ホーリー達の姿を目視することはおろか、その気配すら感じ取ることができないほどになったころ「事故」が起こった。

轟音を残し、彼らの掘り進めた穴が突然崩落し、峠の麓に口を開けていた穴が一瞬にしてその姿を消してしまったのだ。

当初は、「事故」として扱われたが、崩落自体は事故なのだろうが、あの日長老が口にした疑問に世間が気付き「事件」ではないかと騒がしくなってきたのだ。

「一体、アナ・ホーリーはなぜ穴を掘ったのか?」








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[ 2017/02/01 17:06 ] 散文集 | TB(0) | CM(0)
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