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エクレアの丘

夕刻、いつものように雨戸を閉めに行った。

国道を渡り、商店街というにはあまりにもお粗末な商店群を抜け、いつものように駅舎に入った。

いつもなら突き当りに姿を現すはずのスマホを横にしたような形の茶色い一枚物の雨戸が見当たらない。

「私は迷ってしまったのか?こんな単調な道のりで・・・」

雨戸が見当たらないいつもの突き当りを左に折れ私は歩を進めた。

しばらく進むと右手に少し開けた場所があり私はそこへ立ち入った。

すぐに白い壁に突き当った。

右手に細い通路のようなものがあることに気付いた。

私はその細い通路に進路をとり、十数メートルほど進んだだろうか、突然視界が開けた。

始めは強い光を感じ、そして景色がはっきりと浮かぶ。トンネルを進み、出口に到達したときのあの感覚だ。

私の目に飛び込んだのは、ガラケーの画面のような縦長の景色だった。

私は線路の幅より少し幅の広いコンクリートの上に立っていた。プラットホームだろうか。

そこから真っ直ぐに線路が伸び数十メートル先を列車が赤いテールライトを見せながら走り去っている。

線路左には、手前に畑が広がり、さらにガラケーサイズの景色の左奥には気の生い茂った山があった。

私が最も目を奪われたのは畑の奥、ガラケーサイズの景色の中央から上、つまり畑の奥にそびえるエクレアを縦にしたような丘だった。

エクレアの天辺に赤茶色の屋根の家が建っている。そこまではよいのだが、ほぼ直角に切り立った斜面にも家が建っているのだ。

立っているのではなく斜面から生えているのだ。

細長い二階建ての青い屋根の家が斜面から下に45度くらいの角度で。

私の注目をひいたのは、その重力を半ば無視したよう形状的な異様さだけではなかった。

景色全体の中でそのエクレアのような丘の部分が、りんご飴のような艶っぽい光沢をはなっていたのだ。

その色彩美にうっとりとしてしまったのだ。

糊付けをしたパズルを透明の樹脂の額におさめ照明をあてたときのようなあの美しさが、

ガラケーサイズのリアルな景色として私の目の前に広がっている。

私はスマホを横にしたような茶色い雨戸のことなどすっかり忘れて、

形状的異様さとコーティングされたような艶っぽい色彩美ガラケーサイズの景色をいつまでも眺めていた。

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[ 2017/02/11 08:09 ] 散文集 | TB(0) | CM(0)
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