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そしてヨシキュウ

GW終盤、弾丸ツアーを敢行していた彼は、スゥイートチルドレン(通称:スゥイチル)のW・ディーア城の門前である問題に直面した。

W・ディーア城は、ある条件を満たさなければ入城許可がおりなかったのだ。

門前の表示によると・・・

「スゥイチル出身で千樹通貨を有する者を含まないグループには、入城を許可できません。 W・ディーア城主」

眼下に広がる湖と呼ぶにはあまりも広大な水面を眺めながら、彼は門前でしばし黙考した。

「GWといってもあれは確か谷間の出来事だったな。谷間・・・」

先日、鯛工船に乗り「ショウエイ」を手繰り寄せた漁のことを思い起こしながら。

その時、門前脇のある物に彼は気付いた。

「ガイド紹介所」

彼は、紹介所の扉を開け中に入った。

紹介状を一枚提示することで、ガイドを一人紹介してくれるらしい。

この弾丸ツアーの要所で二枚の紹介状を彼は手に入れていた。

ただし、指名や希望は受け付けていない。

どんなガイドにあたるかは、分からない。まさに運任せのくじみたいなものだ。

GWの繁忙期に厳しいかとは思ったが、彼は意を決した。

「これでダメでも、もう一回チャンスはある。」

紹介所の窓口で係員に紹介状を一枚手渡した。

係員の対応は迅速だった。

受付脇の扉から一人の男が姿を現した。

彼は、男を見るなり、

(「ジョニー・H⁉」・・・ある知り合いのことが頭に浮かんだ。理由はすぐにわかった。ハットだ。)

男はブラウン系の縦縞スーツに同じ生地のつばの広いハットを被っていた。

髭尻のピンと跳ね上がった口ひげと、その服装やいで立ちから、凛々しさとダンディズムを醸し出していた。顎髭はない。

「はじめまして、ヨシキュウです。」

と、男は彼に挨拶した。

(ヨシキュウ?某牛丼チェーンのような名前だなと思った。)

「ご出身は、どちらですか?」

「スゥイチルです。」

男は、淡々と答えた。

彼は、逸る気持ちを抑えつつ、次の質問を口にした。

「失礼ですが、千樹通貨は、お持ちでしょうか?」

彼は、固唾をのんで返事を待った。

男の答えを聞くまでの数秒もない時間が彼にはとても長いものに感じられた。

「はい。持っています。」

男の返事を聞いた彼は、

「よろしくお願いします。」

と、笑顔で手を差し出し、男と握手を交わした。

そして彼の姿は、ヨシキュウと共にW・ディーア城へと消えていった。

そして、いよいよ・・・

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[ 2017/05/07 07:35 ] 散文集 | TB(0) | CM(1)
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[ 2017/05/09 19:51 ] [ 編集 ]
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