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そしてブデン・ビリー・ブゲン

西の大陸を踏破した彼は、ブデン・ビリー・ブゲンを発掘した。

「オニキン(鬼に金棒)だ。」

ブデン・ビリー・ブゲンを発掘するつもりのなかった彼の口から洩れた言葉だ。

やはり、そこにも谷があった。

[ 2017/05/11 07:54 ] 散文集 | TB(0) | CM(0)

そして大毛虫

そして、いよいよ・・・

「ショウエイ」を漁で入手した彼は、春告げ鳥の鳴き声が共鳴する樹々のトンネルをくぐり軌道確認に出かけた。

山頂では大毛虫が、少し黒みを帯びた濃艶な紅色の背を薄水色の空に向け日光浴をしながら佇んでいた。

ちょうど陽が真上からの当たる部分だけが、まるで日焼けでもしているかのように下の方は濃い緑色をしている。

大毛虫は、奇妙な立ち方をしていた。

アルファベットのL字をちょうど90度、それもわざわざ座りの悪いだろう方向に回転させたようにだ。

こんなアンバランスな格好でよく倒れないものだと、大毛虫の体幹の驚異的な強さに呆れながらも素直に感心した・・・

そんなことを思い出しながら彼は、内海を渡り南の大陸を巡り、

もう一度、内海を渡り西の大陸を闊歩していた。

「ヨシキュウ」とは、二つ前の大陸で分かれていた。、W・ディーア城のある大陸だ。

あんなにクッキリとして極太で揺るぎなかっただった輪郭が、

遮るものがなくなり、距離が縮まるにつれ反比例的に次第にぼやけていき、やがてそれはついに消滅してしまった。

[ 2017/05/09 16:38 ] 散文集 | TB(0) | CM(0)

そしてヨシキュウ

GW終盤、弾丸ツアーを敢行していた彼は、スゥイートチルドレン(通称:スゥイチル)のW・ディーア城の門前である問題に直面した。

W・ディーア城は、ある条件を満たさなければ入城許可がおりなかったのだ。

門前の表示によると・・・

「スゥイチル出身で千樹通貨を有する者を含まないグループには、入城を許可できません。 W・ディーア城主」

眼下に広がる湖と呼ぶにはあまりも広大な水面を眺めながら、彼は門前でしばし黙考した。

「GWといってもあれは確か谷間の出来事だったな。谷間・・・」

先日、鯛工船に乗り「ショウエイ」を手繰り寄せた漁のことを思い起こしながら。

その時、門前脇のある物に彼は気付いた。

「ガイド紹介所」

彼は、紹介所の扉を開け中に入った。

紹介状を一枚提示することで、ガイドを一人紹介してくれるらしい。

この弾丸ツアーの要所で二枚の紹介状を彼は手に入れていた。

ただし、指名や希望は受け付けていない。

どんなガイドにあたるかは、分からない。まさに運任せのくじみたいなものだ。

GWの繁忙期に厳しいかとは思ったが、彼は意を決した。

「これでダメでも、もう一回チャンスはある。」

紹介所の窓口で係員に紹介状を一枚手渡した。

係員の対応は迅速だった。

受付脇の扉から一人の男が姿を現した。

彼は、男を見るなり、

(「ジョニー・H⁉」・・・ある知り合いのことが頭に浮かんだ。理由はすぐにわかった。ハットだ。)

男はブラウン系の縦縞スーツに同じ生地のつばの広いハットを被っていた。

髭尻のピンと跳ね上がった口ひげと、その服装やいで立ちから、凛々しさとダンディズムを醸し出していた。顎髭はない。

「はじめまして、ヨシキュウです。」

と、男は彼に挨拶した。

(ヨシキュウ?某牛丼チェーンのような名前だなと思った。)

「ご出身は、どちらですか?」

「スゥイチルです。」

男は、淡々と答えた。

彼は、逸る気持ちを抑えつつ、次の質問を口にした。

「失礼ですが、千樹通貨は、お持ちでしょうか?」

彼は、固唾をのんで返事を待った。

男の答えを聞くまでの数秒もない時間が彼にはとても長いものに感じられた。

「はい。持っています。」

男の返事を聞いた彼は、

「よろしくお願いします。」

と、笑顔で手を差し出し、男と握手を交わした。

そして彼の姿は、ヨシキュウと共にW・ディーア城へと消えていった。

そして、いよいよ・・・

[ 2017/05/07 07:35 ] 散文集 | TB(0) | CM(1)

そして鯛工船

2,017年5月2日、彼は鯛工船の上にいた。

それは、正午を少し過ぎたころの出来事だった。

漁最終日、時間的猶予も残り1時間弱、

彼は、昔、映画で観た魚と格闘する老人ほど鬼気迫るといった状況ではなかったものの、

それなりの緊張感のようなもの感じていた。

彼は、網を慎重に手繰り寄せた。手応えと確信に満ちた網捌きで。

その手応えと確信は、直ぐに網の中で確かなかたちとなって姿を現した。

狙っていた「ショウエイ」が甲板の上で勢いよく跳ねていた。

G週間に相応しく、キラキラと黄金色の輝きを放っていた。

彼は、クリームパンを齧った。

そして、洋上の五月晴れの空を見上げながら、

「洗濯物の乾きが楽しみだ。」

と笑みを浮かべたとき、

今朝、洗濯用洗剤と漂白剤を使い切ったことを思い出した。

「そうだ、新しいものをおろさなくちゃ。」

彼は、錨を上げ帰路に就いた。

「ショウエイ」を手繰り寄せたことで、次回にはさらにパワーアップするだろう鯛工船で。


[ 2017/05/02 12:49 ] 散文集 | TB(0) | CM(0)

そしてクラヴィーアのBWV825とルジャンドル先生

 どうやら彼は、白い象の背で眠り込んでしまったようだ。

枕元からクラヴィーアのBWV825。

「あの時と同じだ・・・。」

シンクロ。

彼は、ルジャンドル先生と再会した。約1年振りに。

先生は唐突に、

「4が加わったが、元来4は存在していたし、5,7,9のグループではなく、4のグループに収まった。」

「つまりは、何もなかったに等しい。」

「4,5,7,9の数字が(4)、(5,7,9)、偶数と奇数とに上手く分かれている。実に美しいではないかね。」

「3105が、(5)を。つまり5は共通項。」

「そしてあなたが(1,3,9)を・・・。5はなくて当然じゃな。」

「残りは、異端児の(0)と偶数の(2,4,6,8)、偶然とは思えないほど最高の三角関係を成している。完璧だよ。」

そう言い終えると先生は、ティーカップにそっと手を伸ばし静かに口元に運び紅茶を啜った。

彼は、ポケットに忍ばせていた紙切れを先生に手渡した。

「P31(KUNI)コード 2016」

という文字の下に緑とオレンジに色分けされたバーコードようなものだった。

先生はそれを受け取るとおもむろに頭の上に載せてあった眼鏡を鼻の上に下ろして紙切れに視線を送った。

先生はすぐに顔を彼に向けた。

そして一言、

「ありがとう。ネーミングも最高だね。完璧だよ。」

と、やさしく彼にハナマルの微笑みを送った。

その間、クラヴィーアのBWV825はずっと流れていた。

気付くと彼は、寝室の布団の中にいた。

先生にボールパークの話をしてあげるのを忘れていたことを、ふと、彼は思い出した。

いや、もしかすると・・・

同時に彼は、何かを思い出していた。

先生は白い象でボールパークに移動していたのかもしれない。

そして、ボールパークにいたリトルリーグの子供たちに

「ファールラインは何本かね?」

ときっと尋ねた。

そう、昔、彼が、少年野球をやっていたころに野球場で見慣れないおじいさんに

「ファールラインは何本かね?」

と、尋ねられ、

「2本です。」

と帽子をとって毬栗頭で元気よく丁寧に答えたあの時のように・・・。

見慣れないおじいさんは、やさしく微笑んで、

まるで(「そうじゃ、3本目は必要ない」とでも言っているかのように)うんうんとゆっくりと頷いていたことを。

その時、白い象は、やっぱり炊飯器の陰に堂々と隠れていた。

[ 2017/04/28 11:24 ] 散文集 | TB(0) | CM(0)
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